初めての全国大会

第20回全国中学生選抜将棋選手権大会・東京予選の会場は私にとって見慣れない光景でした。男子ばかりの中、女子の部参加は私一人。その結果、なんと、東京代表に選ばれてしまいました。
当時は将棋を指す女の子も少なかった上に、有段者の女の子は他県の学校だったこともあり、東京予選に参加したのが私だけだったことは本当に幸運でした。まだ中学一年生だった私は道場に通い始めて1年半くらい経っていましたが、棋力も5級くらいしかありませんでした。大会自体も地元の小さなものしか出たことがない私にとって全国大会への出場は全く想像もできないこと。東京代表に決まった時は「誰もいなくて、東京代表なんてラッキー。」と素直に喜んでいました。

ところが、数日後、母が「全国大会で恥をかいたらかわいそうなので、鍛えていただけないでしょうか。」と道場の先生に相談にしている姿を見て、私は初めて焦りを感じました。
それからは全国大会で勝つことを目標に道場でひたすら平手戦の練習に取り組みました。私が将棋の本当の楽しさを知ったのはこの頃からだったように思います。道場の先生はその場ですぐに好手や悪手を指摘してくださり、私のことをいつも温かく見守ってくださりました。大会に行く直前に私が道場で思わしい結果が出せずに落ち込んでいた際、
「こんだけ負ければ次は大丈夫だ。きっと勝てる。」と先生が笑いながら励ましてくださった言葉は今でも心に残っています。
棋力は3級まで上がりましたが、全国大会の壁は厚く、結果は本戦一回戦負け。でも予選を通過できたということだけで嬉しく、また自分の力を出し切れたことにホッとしました。

運良く東京代表になったことがきっかけで、より将棋を好きになりました。来年また全国大会でみんなと対戦したいとモチベーションも上がり、その後は中学二年生で準優勝、中学三年生では優勝することができました。きちんと結果を出すことができたという意味でも非常に思い出深い大会です。

女流初段 貞升南

コラム:アマチュア時代の思い出|貞升南

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