9九のソワレ

9九のソワレ

京都で、ゼリーポンチを飲んだ。

喫茶店「ソワレ」

鴨川を右手に眺めながら祇園四条の橋を渡り、先斗町を通り過ぎ、2つ目くらいの通りを入る。

初めてだったので、一度通り過ぎてしまった。

チェーン店や少し敷居の高そうな建物が入り混じる通りにぴったりとはまっている店。

「純喫茶」と呼ぶのだろうか。

「ソワレ」の自動ドアを通ると、音が半分になった。

静かとはまた違い、音に幕が降りたような感じ。

少し戸惑う。

モノトーンの制服に身を包んだ店員さんに通された席は隅っこの、身を縮めて通れるような二人席。

符号でいうならまさに9九。
穴熊席。

メニューを開き「魅惑の」と肩書きがある「ゼリーポンチ」を注文。季節限定の桜メニューも魅力的だった。


あっという間に運ばれてきたそれは、まさに宝石箱のようで、キラキラと色とりどりのゼリーが、ソーダの中に佇んでいた。

どの色も強い色なのに、ぶつかっていなくて美しい。

これを品というのかもしれない、なんて思いつつ、しばし みとれてしまった。

そしてストローを刺してひとくち。スプーンですくい、ゼリーをひとのみ。

爽やかな甘さのソーダに、もっちりとしたゼリーが相まって、初手からおかわりしたくなる味。

だけれど、なんとなく、おかわりが無粋に感じるような空気。

灯りが落ちた店内で、彩度に対峙する時間。

贅沢で、別世界だった。

扉をくぐれば、また音が戻ってきて、日常へと突き放されはしたけれど

なんとなく、音が減った気がする。

また行きたい、ソワレの9九席。

山口絵美菜