封蝋

封蝋

翳ってきたとき

人それぞれ、復活の儀、みたいなものがあるんじゃないかと思っている。

美味しいものを食べるとか、温かいお風呂に入るとか、よく耳にする方法をあらかた試したあとで

それでも下向きに進んでいたら、すること、みたいな。

旅とか、映画とか、叫ぶとか、沢山あるんだろうけれど

私は手紙。

大学に入った時くらいから。
尊敬している人に手紙を書いていて、

それはいつも夜で、便箋に。きちんとした書式で、名乗るところから始めて、感謝を伝えて、現状を書く。

ちなみに、相手は雲の上の人だから、私の存在も知らない。

書き終えたら丁寧に封をし、机に置き、そして眠る。

朝起きても、まだその手紙にすがりたかったら、投函するというルール。

出したのは、一度きり。

四通書いたのに。そしてその一度は、住所が間違っていて戻ってきてしまった。

調べ直せばまた出せたんだろうけど、気持ちが済んでしまったので、出さなかった。

夜に書いた手紙はなんとやら、と言うので、見つけ次第、全部燃やそうと思っているけれど。

山口絵美菜