第11回小学生駒姫名人戦レポート

第11回小学生駒姫名人戦が2018年8月11日に神奈川県横浜市の上大岡京急百貨店で開催された第20回京急将棋まつりの中で行われました。
今年の参加人数は駒姫名人戦グラス14名、一般戦クラス43名、合計57名で昨年より4名増えて、これまでの最多人数でした。
この大会は公益社団法人日本将棋連盟主催、女流棋士会協力で開催させていただいております。また大変ありがたいことに昨年より囲碁・将棋チャンネル様にご協賛を頂いております。連盟の神奈川県支部連合会の皆様にもいつも温かく応援をして頂いております。皆様にあらためて厚く御礼申し上げます。

ph_komahime11-01.jpgさて今回も関東近県のほか、北海道、山梨、静岡、愛知、富山、広島、熊本の各県からもいらしてくださいました。遠方からもご参加くださり大変ありがたく思います。いつも熱心に小学生駒姫名人戦を応援、運営してくださる谷川治恵女流五段とご一緒に参加賞を何にするのか考えるのが楽しみなのですが、「羽生善治永世七冠のクリアファイルにしましょう」と谷川女流五段がおっしゃってくださり、ぴったりの素晴らしい参加賞が出来たため喜んで決めました。昨年は藤井聡太四段(当時)のクリアファイルでした。
この大会の第1回目の駒姫名人戦クラスの優勝者は竹俣紅女流初段です。女流棋士となりいまテレビでも大活躍をされています。さらに第2回目駒姫名人戦クラス優勝の和田あき女流初段、第2回目一般戦クラス優勝で第3回目でも駒姫名人クラスで準優勝された塚田恵梨花女流1級も女流棋士として活躍されています。第4・5回に駒姫名人クラスで連続優勝された今井絢さんはいま奨励会4級です。研修会に入って頑張っている方もいらっしゃいます。さらに何回も大会に出場して下さって第7、8回に駒姫名人戦クラスで連続優勝された野原未蘭さんはその後アマ女流名人にもなり、今年は男子に混じって中学生将棋名人戦でも優勝されました。過去に中村修九段、丸山忠久九段、屋敷伸之九段たち10人ものプロ棋士を輩出している由緒ある大会です。女子の優勝は初めてでした。小学生駒姫名人戦大会の参加者がその後大活躍されて嬉しく思います。
大会は予選2勝通過2敗失格方式で予選を抜けると決勝トーナメントに進めます。持ち時間は駒姫名人戦クラスはチェスクロック使用の10分で切れると1手30秒の秒読み。一般戦クラスは時計無しで行いました。

最年少は一般戦クラスの神奈川県横浜市の1年生川内寿珠(すず)ちゃん6歳でした。他に1年生はもう1人、同じく川崎市の市橋咲衣(さえ)ちゃんがいましたがこちらは7歳でした。ふたりとも残念ながら予選通過は出来ませんでしたが、チャンスはまだたくさんありますので来年以降に頑張って頂きたいと思います。他に一般戦クラスには7歳の2年生が5人も参加してくださいました。小さい女の子がたくさん将棋を指すようになってくださり、嬉しいかぎりです。一般戦クラスの優勝者は文京区の5年生梅津美琴さんでした。梅津さんは昨年3位からの優勝でした。同じく昨年3位の5年生長谷川咲さんは今年も3位入賞を果たしました。昨年優勝、準優勝の二人は駒姫名人戦クラスに挑戦しましたが予選通過はなりませんでした。

駒姫名人戦クラスは7人の決勝トーナメントになりました。決勝に勝ち上がったのは熊本県の松下舞琳(まりん)さんと広島県の石井萌夢(めむ)さんでした。松下さんは2年前のこの大会の優勝者で昨年は3位でした。
決勝戦は午後3時からの席上対局で行われました。お二人は実力が伯仲しているため、よく大会で当たるようです。今大会の予選1回戦でも当たり、その時は松下さんが勝ちました。お互い決勝トーナメントを勝ち進み、迎えた決勝戦です。解説は中村修九段、聞き手は谷川女流五段がつとめられました。記録は上村亘四段と相川春香女流初段と豪華です。

決勝戦は持ち時間20分で切れたら1手30秒で行われました。松下さんが先手で▲7六歩△3四歩▲2六歩△5四歩▲2五歩△5二飛と進み、石井さんは中央に飛車を振りました。ゴキゲン中飛車です。対して以下▲2二角成△同銀▲9六歩△9四歩▲7八銀と進み、松下さんは一時丸山忠久九段が多用されたことから「丸山ワクチン」と呼ばれる戦型で対抗しました。良く勉強されていると思いました。
お互いに銀冠に囲い、やや手詰まりかと思われた局面で石井さんが左の3三桂と跳ねている形から△3五歩▲同歩△同銀▲3四歩△2五桂と自ら動いて手を作りにいったのには驚きました。怖い指し方ですので踏み込むのには勇気が要ります。△2五桂に対し、銀取りに▲2五同飛とする手も考えられましたが、△1四角と飛車、銀に狙いをつける筋が気になったか、松下さんは▲3三歩成とと金を作り、飛車、金をいじめに行く順を選びました。さあ△2五桂が一回通りましたので3三とが働いて来る前にさらに手を作る必要があります。3三とを相手にしなかったのはさすがだと思いました。続く△3七桂成▲同桂▲3六歩の時に松下さんは形良く▲4五桂と跳ねました。
石井さんは△3七歩成と飛車、銀両取りに歩を成ります。松下さんは構わず▲3二とと金を取ります。ここで石井さんは飛車の方を取るのかと思いましたら△4七とと銀の方を取り、と金を中央に寄せました。このあたりすごい勝負術です。しかし局面は松下さんがやや有利です。ここから10数手進み、66手目、石井さんが△4七角と5八の飛車取りに角を打った局面で▲7一角成とあっさり金を取って角を切り、△同飛に▲5三飛成と角のいた位置に飛車を成れば松下さんが有利を保てたと思います。
しかし、一回▲5九飛と引きたくなる気持ちも分かります。石井さんは△5八銀としっかり打ちます。続く▲7一飛の銀取りにも構わず、△6七歩と垂らし攻めの拠点を着々と手厚く作って行きます。「序盤はちょっと荒いのかなと思って見ていましたが、2人とも終盤がもの凄く強い」と中村九段がしきりに感心されていらっしゃいました。さらに終盤進んで▲7一銀不成の王手に取らずに△9三玉とかわした手も光ります。斜め後ろに利く駒が無いので詰みません。将棋はこのあとあっという間に寄せ切った石井さんが100手までで勝ちました。優勝された石井さんは普段は広島将棋センターで指しているそうです。山崎隆之八段や片上大輔七段たちも腕を磨かれた名門道場です。お母さんと弟さんも応援にいらしていました。小学校3年生の弟さんとはお姉さんの萌夢さんが駒を落として指しているそうです。今年も無事に終わることが出来ました。また皆様の来年のご参加を心よりお待ち申し上げております。最後になりましたが小学生駒姫名人戦開催に当たりまして大変お世話になりました、京急百貨店
様、囲碁・将棋チャンネル様、神奈川県支部連合会の皆様、中村修先生にこの場をお借りして厚く御礼申し上げます。誠にありがとうございました。今後とも何とぞ宜しくお願い申し上げます。
各クラスの入賞者は次の通りです(敬称略)
駒姫名人戦クラスの入賞者は次の通りです。

優勝
石井萌夢 広島県広島市立安北小学校 5年生
準優勝
松下舞琳 熊本県熊本市立川尻小学校 6年生
三位
佐々木香歩 静岡県沼津市立今沢小学校 6年生
三位
鈴木二葉 愛知県あま市立美和小学校 6年生
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一般戦クラスの入賞者は次の通りです。

優勝
梅津美琴 東京都文京区立関口台町小学校 5年生
準優勝
秦小百合 東京都町田市立小川小学校 5年生
三位
長谷川咲 千葉県八千代市立萱田小学校 5年生
三位
芦田優月妃 東京都世田谷区立奥沢小学校 5年生
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囲碁・将棋チャンネル様で当日の模様が放映して頂けます。どうぞご覧くださいませ。

小学生駒姫名人戦取材映像の紹介番組

番組名
将棋まるナビ#35(35回目) 将棋情報番組
番組時間
15分
放送日
8月25日(土)11:38~11:53 再放送:8月26日(日) 5:38~5:53、17:45~18:00、24:38~23:53、24:38~24:53
囲碁将棋チャンネル番組表
URL: http://www.igoshogi.net/program/index.html?td=20180825

第11回小学生駒姫名人戦名人戦クラス決勝戦棋譜

松下舞琳さん 対 石井萌夢さん

持ち時間20分切れると1手30秒

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