次の一手:鈴木-中村桃戦(記:渡辺弥生女流初段)

 私が記録係を務めた将棋から次の一手を出題します。

 先手鈴木環那女流二段、後手中村桃子女流初段。平成25年4月に行われた第35期霧島酒造杯女流王将戦予選1回戦です。二人ともまだ私がプロになる前からよくしていただいてる(年はちょっぴり私が上ですが)先輩です。

 私の勝手な予想通り、戦型は中村さんの四間飛車に鈴木さんが居飛車穴熊に組む対抗型に。私はお二人とも一度ずつ公式戦で対戦していて、ものの見事にどちらも完敗しました。二人とも中盤に攻め出してから終盤寄せに入るまでのスピードが速く、3歩進んで2歩下がるタイプの私は濁流に飲み込まれたような気持ちでした。「とりあえず同歩でゆっくり行こうよ!」と言っても付き合ってくれません。

 さて問題の将棋に戻りまして、記録席でぼーっと座っていた私は、急に中村さんが攻めだして飛び起きました。攻め出したどころか、なんということのない表情で飛車をブッタ切ります。
 私にとって飛車を切るのは相手の王様を詰ますときです。いやいやいや、詰ますどころか、相手は王手もかからぬ穴熊です。
 端を攻めまくって局面は後手の振り飛車が優勢。後手番、ここで素朴な厳しい一手があります。端を狙うなら△9二香打ですが...お考えください。

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 正解は飛車金取りに打つ△5七銀です。
 ▲6七飛は△6六銀成▲同飛△5五角が準王手飛車。△5七銀に▲6七金引も△6八銀成▲同金引△6七歩▲同金直△2八飛で後手の攻めが続きます。実戦は△5七銀に先手も▲6四歩△同金△6二歩▲同金△3一飛▲6一歩△8六桂と攻め合いましたが、以下△6八銀成▲同金△9二香打▲6五歩に△7九角が金銀両取り。最後は後手の中村さんが逃げ切りました。中村さんはこのあと二回戦で安食総子女流初段に勝ち、本戦出場を決めました。

女流初段 渡辺弥生

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